前回記事の続き。
実はシラーの「スペイン王子ドン・カルロス」には、さらに元となる本が存在する。それが、サン・レアル(César Vichard de Saint-Réal)の”Don Carlos, Nouvelle Historique”(1672)だ。その中に、1562年に起こった、ある事件のことが書かれている。この事件は、シラーの戯曲やヴェルディの歌劇には含まれていないものの、サン・レアルの描いたドン・カルロスの人物像がどのようなものだったのかを、雄弁に物語っている。 “フェリペ2世とドン・カルロスと機械じかけの修道士” の続きを読む