rookie

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ゲーム用語由来の言葉といえば、何を思い浮かべるだろうか。

例えば日本語なら、元々は囲碁・将棋・麻雀の用語であったものが、一般に使われるようになったケースが多い。囲碁なら「布石」「定石」「一目置く」「駄目」、将棋なら「王手」「捨て駒」「高飛車」「詰み」、麻雀なら「面子(顔ぶれ・人数の意)」「リーチ」「安牌」などなど。他にも実にたくさんの、ゲーム由来の言葉がある。

英語ではどうだろうか。日本と似て、やはりチェスやカード(トランプ)を語源とした言い回しがある。以前このサイトでも、ブラックジャック由来の“double down”という表現を紹介したことがある。

では、次のツイートはどうだろうか。

一見なるほど、と思わせる内容だ。

ところで、Wikipediaのrookieの項目に、OEDにおける語源の説明が載っている。

The Oxford English Dictionary states that the origins are uncertain, but that perhaps it is a corruption of the word recruit. The earliest example in the OED is from Rudyard Kipling’s Barrack-Room Ballads(published 1892): So ‘ark an’ ‘eed, you rookies, which is always grumblin’ sore, referring to rookies in the sense of raw recruits to the British Army.

語源ははっきりしないが、おそらく”recruit”の砕けた言い方から来ているのではないか、としている。また、それ以外の要素として(上記の引用の後に書かれているが)、”rook(騙す)-ie(される人)”という言葉が影響している可能性が指摘されているようだ。
OEDによると判明している最古の用例は1892年。英軍で新兵を指す用語として使用されていたらしい。

おなじみOnline Etymology Dictionaryの説明はどうだろうか。
上記の説明に加えて、1890年の俗語辞典”A Dictionary of Slang, Jargon & Cant”での解説に「新兵:黒いコートを着ているところから」とあることから、原義としてのrook(カラス)から来ている可能性も示唆している。
また、米西戦争の頃にアメリカにも用法が伝わったらしいとして、1898年の”Midland Monthly”の記事が紹介されている。

さて、上記以外に、実はアメリカでまことしやかに語られている、もう一つの説がある。OEDの最古の用例よりさかのぼった1860年台、つまり南北戦争の時期に、ろくに使えない新兵のことを”reckies”と呼んでおり、これが後に”rookies”に変化した、というものだ。
もしもこれが本当ならば、rookieはヨーロッパで生まれた言葉ではなく、実はアメリカで生まれた言葉、ということになるかもしれない……のだが、どうもこの話は出処が怪しい。
もしかすると、Snapple Cap Factsで紹介されたのをきっかけに広がった説ではないかと疑っている。なぜなら、それ以外の典拠がほぼ見つからない(あとは適当なトリビア本くらいしかない)からだ。

というわけで、なんだかんだとあったが、語源ははっきりしない、ということのようだ。しかし、19世紀から軍隊の新兵に対して使用されるようになった用語だという点は、一致している。

話を戻そう。
ここで少し考えてみてほしいのだが、軍隊のraw recruits、つまり志願したて、あるいは徴兵されたての新兵を、はたしてチェスのルークに喩えるだろうか?
僕は、喩えないと思う。何故ならば、ルークは確かに遅く展開する駒ではあるが、その価値はKing, Queenに次ぐとされる、極めて重要な駒だからだ。
個人的には、rookieがチェスのrookを語源とするという、最初に紹介した説は、怪しいのではないかと考えている。

というわけで、みなさんがトリビアを披露する際には、「ルーキーという言葉はチェスのルークが語源なんだよ」などという怪しいトリビアではなく、是非次のトリビアをご利用ください。

「チェスで王手のことをチェックというが、それが転じて、確認するという意味のcheckという言葉ができた」

え、逆じゃないの?と思った人は多いと思う。こんな当たり前に使う基本単語が、実はゲーム由来だったのだ。

知ってたら、ごめんなさい。

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