logistics(ロジスティクス)

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ビジネス用語に、ロジスティクスというものがある。
ロジスティクスが~なんて話し方をすると、ちょっと偉くなった気がする、いわゆるオトナ言葉の側面もあるような気がしたりしなかったり。

日本語では一般的に「物流」なんて訳されることが多いが、実際のところはもっと包括的な概念らしい。

さて、logisticsという単語を目にしたとき、僕が最初に思ったのは、たぶん何か論理に関係がある単語なんだろうな、ということだった。いかにも古ギリシア語のlogosを語源とする単語っぽいからだ。

λόγος(logos)という単語は非常に広い内容を含む単語だが、「論理的に語られること」という意味合いが大きいだろうか。英語のlogic、あるいはbiology, technologyなどの”-logy”の語源でもある。そして、logistic(“s”はつかない)という単語は、あまり使われないようだが、たしかに「記号論理学」といった意味も持っている。

じゃあ、logisticsは、なぜ「物流」なんて意味合いになったのか。やっぱり物流を考えるなら仕組み、つまり論理や計算が大切だからだろうか。

まず、最初に思った通り、会計といった意味合いを持つ、古ギリシア語のλογιστικόςを語源とするという説があるようだ。これは分かりやすい。論理→計算→会計→物流といった感じだろうか。

ところが、より有力な説が別にあるらしい。そして、こちらの説は、実のところ上で紹介しているギリシア語logosの派生とは関係が無い。

そもそも、logisticsという単語の第一義は「物流」ではなく、軍事用語の「兵站」だ。現在のビジネス用語としてのlogisticsは、元々business logisticsと呼んで区別をしていたらしい。

では、「兵站」とはなにか。直接の戦闘行為ではない補給・輸送・管理をひとまとめにした概念で、軍隊をどうやって維持運営するか、その方法と技術のことを「兵站」と呼ぶ。なにそれ、ちょっと広すぎる概念じゃない?と思うかもしれないが、そういう言葉なのだから、しょうがない。

必然的に、ビジネス用語としてのlogisticsも、非常に広い範囲の言葉なので、「物流」と訳すのは本質的ではない。正確を期すならば、現状「ロジスティクス」と訳すしかない。

ところで、もっとも基本的な意味合いとしての「兵站」とは、どのような形のものだろうか。軍事行動が行われる際、まず軍隊が移動する。その後、適切な場所で駐屯し、戦闘を行う(あるいは、戦闘に備える)。軍隊はその間ずっと食料、あるいは戦闘用の物資を消費し続けるので、消費量に応じて適切な物資の調達・輸送・分配を行う必要が生じる。これが兵站の役割だ。

つまり、軍隊の駐屯をいかに運営するのか、というのが兵站の基本的な部分と言える。そして、軍隊が駐屯すること、すなわち中世フランス語でlogis-現在の英語でいうところのlodging-を行う技術・方法が、logistiqueであり、現在のlogisticsという英語の語源となったというのだ。

この用語を生み出したのは、ナポレオン時代の軍事学の大家であり、「戦争概論」などの著作で知られるアントワーヌ=アンリ・ジョミニらしい。

つまり、logisticsとlodgeが同語源ということだ。
兵站という複雑な概念がlogisticsという単語の第一義であることを考えるなら、非常にlogicalな語源の説だと思われる。

今回の話は以上。

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