きっかけは、たまたま以下のツイートを見かけたことだった。
このやり取りをみていて、差別(差+別)というのは、本当にdis+crimination(離+分(罪を告発する←(有罪無罪を)分ける))なんだなとか思ったり。 https://t.co/F9uCPQsEfX
— Masafumi Nakahara (@masafumitter) 2016年10月21日
確かにdiscriminationという単語を眺めてみると、その元となる単語、discriminateはおそらくはdis+criminateであり、dis(離れている)+criminate(有罪とする)という構造であるかのように見える。
しかし、discriminateという単語には、何かと何かの違いを判別するといった意味があるだけで、元々は否定的な意味合いはない。
これは、「差別」という日本語に元々は否定的な意味は無いというのに似ている。ビジネスで「差別化」といえば、どちらかと言えば肯定的な意味になるように。
そんな違和感を感じて、語源を調べてみることにした。
Oxford dictionaries: discriminateのOriginによると、
Origin
Early 17th century: from Latin discriminat- distinguished between, from the verb discriminare, from discrimen distinction, from the verb discernere (see discern).
そして、Oxford dictionaries: discernには
Origin
Late Middle English: via Old French from Latin discernere, from dis- apart + cernere to separate.
とある。
整理すると、discern(識別する)の語源でもあるラテン語のdiscernereが大本の語源のようで、さらに分解するとdis(apart) + cernere(to separate)という構造で、「分けて離す」という意味なわけだ。
そして、discernere→discrimen→discriminare→discriminat→discriminateとなった、ということらしい。他の辞典でも、概ね同じような解説がされている。
というわけで、結論としてはdiscriminateにはcriminateやcrime的な要素は含まれていないのであった。
ちなみに、じゃあcriminateやcrimeの語源はどないやねんという話なのだが、ラテン語のcrimen(accusation)から来ているらしいものの、そこから先は上でも出ていたcernereに遡れるという説もあれば、古ギリシャ語のkrimaに遡るという説もあったりしてはっきりしないらしい。cernereに遡れるのならdiscriminateとcriminateはいわば従兄弟のような関係の単語ということになるのだけど、実は全く関係なくて形が似ているだけという可能性もあるようだ。