bada bing bada boom

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バダビン、バダブーム。

bada bing bada boom、あるいは順番が入れ替わってbada boom bada bingということもある。あるいは、単独でbada bingといった形で使用されることもある。綴りもbada bingだったりbadabingだったりbadda-bingだったり、いろいろな書き方があるようだ。
結局の所、ちゃんとした言葉というよりは、擬音語に近い間投詞なのだ。

使われ方としては、大きくは二通りある。
一つはいろいろとある長い話を省略して言う場合。
I have a pen, bada bing bada boom, pen-pineapple-apple-pen!
そしてもう一つは、ある物事が行われる際に、それがいとも簡単にできるということを強調して言う場合だ。
I have a pen, I have a apple, bada bing, apple-pen!

たとえが古いな、おい。
個人的に遭遇した限りでは、上の例のように、bada bing bada boomと言う場合は前者が、bada bingとだけ言う場合は後者が多いような気がするが、この言葉の性質上、実際のところどうなのかはなんとも言えない。
あと、日本語でいうとチャンチャンというように、話しのおしまいに落ちとしてつけることもあったりするようだ。

このフレーズを最初に聞いたのがいつだったかは、覚えていない。
ただ、その時、なんとなく意味は分かったものの、どういう単語(綴り)の組み合わせなのか、音からは全く分からなかったということは覚えている。最初に聞いたときはgotta been, gotta boomに近いフレーズだろうかと思ったくらいだ。

その後も何回か聞くことがあったので、改めてきちんと調べてみようとしたのだが、そもそもどういう綴りなのか分からなかったせいで、どこからどうやって調べたものか悩んでしまった。

その時、どの映画だったかは忘れたが、マフィアの出てくる映画でそれっぽいフレーズを聞いたような覚えがある、ということを思い出した。映画と場面が分かれば、その脚本を調べることで、正確なフレーズを特定できるはず……という目論見のもと、それっぽい映画を順番に観直してみたわけだ。

まずは、マーティン・スコセッシの”Goodfellas”から。いかにもJoe Pesciあたりが言ってそうなフレーズだ、と思って観てみたのだが……

Ping! Pow! Boom! Bing! You saw the paper, Anthony. My head was out like this. The prick.

語感は近いが、違っていた。ちなみに、Joe Pesci演じるトミーが主人公のヘンリーを引っ掛ける有名なシーン(“funny how?”scene)の台詞で、警官に殴られている様子を面白おかしく表現している台詞だ。

ついでに、同じくマーティン・スコセッシ監督作品の”Casino”も観直してみたのだが、こちらにはそれっぽい表現はなかった。

余談だが、”Goodfellas”も”Casino”も、実話を元にした映画なのだが、登場するギャングたちは実に破天荒だ。1970年代まではこんな無茶苦茶がまかり通っていたのかと思うと、面白くもあるし、現代はなんて平和なんだと感慨深くもある。
両作とも主人公のモデルとなった人物が死んだのは割と最近で、21世紀に入ってからのことだ。”Casino”の主人公のモデル、Frank Rosenthalなど、公式サイトを作って気さくに質問に回答してたりしているあたりがアメリカっぽい。

さて、次に観たのは”The Godfather”だったのだが、これが正解だった。アル・パチーノ演じるマイケルが自分の手でソロッツォを殺すという決心を固めるシーン。長兄のソニーはマイケルをマフィアの抗争に巻き込みたくないという思いもあり、戦争で遠くから銃を撃つのとは訳が違うんだぞと、止めようとする。

SONNY: What do you think this is the Army, where you shoot’em a mile away? You’ve gotta get up close like this and bada-bing! you blow their brains all over your nice Ivy League suit.

このシーンは非常に有名で、bada bingという言い回しが流行るひとつのきっかけになったらしい。
ところで、実は同じシーンのもう少し前にも、似たようなフレーズを使う台詞があるのだが、何故か合わせて言及されることが少ないので、紹介しておく。

TOM: What did he say?
SONNY: What did he say — Badda-beep, badda-bap, badda-boop, badda-beep — He wants us to send Michael here to proposition.

実のところ、ソニー役のJames Caanは、映画撮影時に仲良くしていた本物のマフィアCarmine Persicoからこれらの言葉を教わり、アドリブで演技に取り入れた、という顛末のようだ。というわけで、当時ニューヨーク周辺のイタリア系のギャングの間で使われていた言い回しなのは間違いない。
ちなみにこのCarmine Persicoだが、かの5大ファミリーの一つColombo Familyのボスで、当初は映画の撮影を妨害に来ていたのだが、コッポラ監督との話し合いにより、条件をつけた上で、最終的には撮影に協力をしたという逸話がある。2019年1月現在、バットナーにある刑務所で129年の懲役を服役中とのことだ。大物というにふさわしい男ではある。

さて、これらのフレーズは、元々はドラムの音を表すスキャットだったのではないかというのが、有力な説らしい。
となると、原型としては、ba-dum ching / ba dum tish / ba dum tssなどで表わされる、コメディにおけるrimshot(ドラム2回のあとにシンバル1回)を想像すると分かりやすいかもしれない。(一般的なrimshot―ドラムの縁を使った演奏法とはまた別の用語なので注意)。

その説を裏付けるかのように、上で紹介したシーンでは、実にリズミカルに、愉快な調子で発音されている。日本語でいうと、少し意味合いは違ってくるが、「ジャジャーン」というファンファーレを模した表現が近いのかもしれない。

いずれにしても日本語に訳すのがなかなか難しい言葉ではある。

近年、やはりマフィアを扱った人気ドラマシリーズ「ザ・ソプラノズ」の中で、”BADA BING”というストリップクラブが重要な舞台として登場したらしい。日本でも知名度が上がってきた今、いっそバダビン(バダブーム)という表現をそのまま日本でも取り入れて使うというのはどうだろうか。

……恥ずかしながら全然知らなかったのだけど、実は安室奈美恵の歌にも出てくるらしいし。

ほら、流行りそうな気がしてきたでしょ。

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