pedal to the metal (medal)

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経済政策に関して話をするなら、僕はどちらかというと、世間でいうところのリフレ肯定派ということになる。なので必然的に、ポール・クルーグマン肯定派、あるいは信者ということになるのだろう。もっとも、クルーグマンのことを知ったのは、彼の業績からすると割と最近のことで、山形浩生氏のサイトが最初だったかもしれない。

その後、改めて既に出ていた名著「クルーグマン教授の経済入門」(訳:山形浩生)を読んで以来のリフレ信者である。もっとも、その時もクルーグマンが後に2008年のノーベル経済学賞を取るとまでは思わなかった。

そんなクルーグマンのインタビュー記事が、割と最近Voice誌に「消費増税は景気回復を妨げる」 というタイトルで出ていたらしく、その一部抜粋をWeb上でも読むことができる。なかなか興味深い記事だが、 『日本が「完全雇用」の状態になっていることは事実です 』という認識に、ちょっとした異論だけは挟んでおきたい。
それは、本来ボリューム層であるべき現在の30代後半~40代前半、いわゆる「失われた世代」(ちなみに僕もこのど真ん中だ)は、急増したなんちゃって派遣業などの影響もあり、本来の(あるいは理想的な、といってもいい)雇用状態になってはいないのではないか云々。
どこかいい職場で、僕を雇ってくれるところ、ありませんかね……いや、今の職場は給料はそこそこなんだけど、年間休日70日を切りそうな上に有給も取れないし、ゲームしたりブロクを更新したりする暇があまりなくて……(これが言いたかったらしい)。

閑話休題。
さて、その記事の中で”pedal to the medal”という表現が出てくる。全力で何かを行う、といった意味なのだが、この表現を見た時、おや、と思った。
というのも、僕が知っていた表現は”pedal to the metal”というもので、例えば、やはり同じクルーグマンが書いた記事“The Japan Story”(2013)の中では”pedal to the metal”となっていたからだ。

このpedalとは、車のアクセルペダルのこと。metalとは、pedalと韻を踏むためにmetalという語が選ばれたのだろうが、要するに車の(おそらくは”metal”、つまり金属でできているであろう)床という意味だ。従って、pedal to the metal(あるいはput the pedal to the metalと使う)とは、車のアクセルをベタ踏みする、という意味になる。

では、pedal to the medalという表現はどこから出てきたのか。ngram viewerで頻度を見てみると……サンプル数が少なくてよく分からない。pedal to the metalという表現が1970年台から急増しているのに対して、pedal to the medalは80年代位からじわじわと増えていっている感じか?
ちなみにWikitionaryの当該項目では、put the pedal to the metalの綴り間違い、と断言している。ngramのグラフからしても、おそらくそうなのだろう。

ところで、正しい(?)表現はともかくとして、純粋に字面からこの2つを比べてみると、metalという語よりもmedalという語のほうが、より美しい韻を踏む形になる。また、metalという語が何を意味しているのかぱっと見では分かりにくいのに対して、medalという語は意味するところが分かりやすい。金銀銅のメダルを目指して、つまりレースで勝利するためにアクセルを踏む、という意味合いになるのだろう。
となると、pedal to the me”d”alという言い方は、pedal to the me”t”alという言い方よりも、多少意味合いが変わってくる気はするが、より自然な表現と言えなくもない。

2010年に話題となったウィズ・カリファ(Wiz Khalifa)のミックステープ”Kush & Orange Juice”には、そのものズバリ”Pedal To The Medal”という曲が収録されている。

さらに加えて、pedalという語は、車のアクセルという意味だけでなく、自転車のペダルという意味もある。すると、勝利のためにペダルを漕ぐ、という意味合いとなるわけで、この表現は実際に自転車レース界隈ではよく使われているようだ。まあこれは、綴り間違いというより、もじりから始まったのだろうけど。

そんな訳で、今後はpedal to the medalという表現が、どんどん広まっていくのではないかと思う。

あ、転職のお誘いはお気軽にどうぞ……ってこれがオチかい。

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