ラーゼフォンと鉄腕バーディー DECODEと切ない話

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ブチ穴という言葉を聞いたことはあるだろうか?割と有名な用語なので、知っている人も多いかもしれない。
ブチ穴とは、アニメなどのメカデザインにおいて、それっぽいところにそれっぽく空いている穴のことで、出渕裕(いずぶちゆたか)のデザインしたメカによく見られることから、その名がついた。
知らないならば、上記の説明ではよくわからないという人がほとんどだろうが、百聞は一見に如かず、Google画像検索の結果を見てもらえれば、なるほどと納得してもらえるかもしれない。

今回話題にする2つの作品「ラーゼフォン」「鉄腕バーディーDECODE」は、どちらもその出渕裕が関係している作品だ。が、実は、取り上げたいのは出渕裕の話ではなかったりする。このあたりの無軌道っぷりは、いつものことであるので、ご容赦いただきたい。

さて、このブチ穴という用語が生み出されていることからも分かるように、出渕裕といえば、まずはメカデザイナーの人、といったイメージである。
あるいは、 ロードス島戦記や未来放浪ガルディーンといった黎明期のライトノベルの挿絵を描いていたりもするので、 そちらでなら知っている、という人も多いかもしれない。
いずれにせよ、イラストレーター/デザイナーといったイメージだった。

それだけに、ボンズ制作による2002年のオリジナルアニメ「ラーゼフォン」の原作・監督が出渕裕だと聞いたときには、少し意外に感じたものだ。

いざ蓋を開けてみると、年増ヒロインだとか鳥頭主人公だとか主役メカがまるでライディーン(これは実際のところオマージュだった)だとか揶揄されるところもあったが、骨太なストーリーと安定した作画の、なかなかの良作であった。
あと個人的には、作曲:菅野よう子、作詞:岩里祐穂、歌:坂本真綾のOP「ヘミソフィア」もイチオシしておきたい。

このラーゼフォンという作品は、TV版だけではシナリオの世界設定が把握しづらいという欠点があるので、できれば(TV版→)劇場版→TV版という順番で観てもらうと分かりやすいと思う。
また、PS2にて発売されたゲームが実に素晴らしい出来なので、作品を観て気に入った方は、ぜひ一度プレイしてみてほしい。

話変わって、「鉄腕バーディー」という、ゆうきまさみ原作の漫画、及びそのアニメもまた、出渕裕が端々に関わっている作品だ。

鉄腕バーディーは2度アニメになっているのだが、今回話題にしたいのは2008年の「鉄腕バーディーDECODE」だ。監督の赤根和樹についてもいろいろと語りたいことはあるのだが、それはまたの機会にとっておくことにする。

鉄腕バーディーDECODEはいわゆる分割2クールの作品で、第2期は特にその戦闘シーンの作画で知られており、ザック・スナイダーが言及していたりもする。「マン・オブ・スティール」などをみると、明らかにオマージュっぽいシーンがあったりするので、興味のある方は見比べてみても面白いかもしれない。
ちなみに、今回話題にするのは第1期の方だ。どれだけ寄り道をすれば気が済むのか。

紆余曲折はあったが、ラーゼフォンの19話「ブルーフレンド」。そして鉄腕バーディーDECODEの第1期12話「DOOMSDAY」。この2つの話こそが、今回の本題である。ネタバレの問題があるので細かなストーリーまではここでは語らないが、とにかくこの両話とも、心をえぐられる切ない話なのだ。

初めて「ブルーフレンド」の回を観たとき、こう思ったものだ。
「なんてひどい(褒め言葉)話なんだ!」
話が終わって、スタッフロールをじっくりと見ていたら、その名前があった。

数年後「DOOMSDAY」の回を観たときも、こう思った。
「なんてひどい(ry」
そして、その時にも、スタッフロールに同じ名前があったのだ。

高山文彦(上記二話では脚本担当)である。

この名前を聞いて、古参のガンダムファンならピンと来たかもしれない。
そう、かの名作「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」の監督をしていた人だ(ちなみにデザインワークスは出渕裕だった。よし、繋がった)。
そして、もちろん0080も相当切ない話だった。嘘だといってよ、バーニィ。

高山文彦は、参加している作品・話数は少なめで、有名であるとは言えないかもしれない。しかし、きちんとしたリアリズムと、なんともいえない余韻を持つ作品が多いので、是非名前を覚えておいて欲しい。
最近では「青い花」のシリーズ構成を担当していたりしたが、これも良い作品であった。

というわけで、いろいろ余計な話もあり、いつもに増してよくわからない投稿になってしまったが、結論としては皆さんには、
高山文彦、魔乳秘剣帖、スペース☆ダンディ
この3つを覚えておいてもらえれば、それで幸いである。

後の2つはどこから出てきたんだ、おい。

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