宇宙交易戦闘ゲーム その3 (Starsector)

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宇宙モノのゲームが(略

というわけで、前回(Star Traders: Frontiers)前々回(Elite Dangerous)としばらく続いている宇宙交易戦闘ゲームの紹介も、ひとまず今回で最終回の予定となっている。
なんでこのところゲームばっかり紹介してるの?英語の話のブログじゃなかったの?と疑問に思われている方もいるかもしれないが、どちらかというと、ホントはこっちが本業なのである。僕は、職業欄には「ゲーマー」と書くタイプの人間なのだ。

さて、今回紹介するのは、Starsectorというゲームだ。
なにそれ、聞いたこと無いという人も多いだろう。実のところ、僕も割と最近知ったばかりだったりする。

そもそも、Starsector(旧名:Starfarer)は、まだ正式なリリース版が出ていない、α版のゲームだ。いわゆるアーリーアクセスの段階である。
だが、kickstarterのようなクラウドファンディングが行われているわけでもなく、steamなどの販路に乗っているわけでもない。2020年6月現在、このゲームを入手する方法は、唯一公式サイト(https://fractalsoftworks.com/)での直販のみである。また、未完成のゲームのため、扱いとしては予約(preorder)ということになっている。これから書く内容についても、2020年6月現在のビルド(0.91a)に準拠したものになるので注意。

公式サイトのブログの記事は、2010年から始まっている。ということは、開発開始もその頃だろうから、10年に渡って開発され続けているということになる。

実のところ、某巨大掲示板ではたまに話題に上ることもあるようなのだが、僕が知ったのはそこではなく、reddit上である。Mount&Blade2が発売(こちらもアーリーアクセスだが)される前後の頃、「Mount&Blade系のゲームでStarsector以上のものを遊んだことがない」(意訳)といった感じの書き込みを見かけ、しかもそれに賛同するレスが複数ついていたのだ。
これは是非とも試してみなければ……と思い、即公式サイトで購入し、遊んでみたわけである。

はたして、予想以上に凄いゲームだった。

Starsectorは、例によって宇宙を飛び回りながら交易・戦闘・探険をするゲームだ。見下ろし型の2D画面でゲームは進行し、基本的にはリアルタイムで進行する、アクション性が強いものとなっている。
自分が指揮するのは(前回までに紹介したゲームのように)単艦ではなく、艦隊(バニラでは最大30隻)となっており、最初は数隻しか持たない宇宙船を、購入・鹵獲などを通じて増やしていくことになる。

このゲームの、どこが面白いのかを語るのは、非常に難しい。強いて言えば、異常なまでに作り込まれた細やかさ、ということになるだろうか。そして、それが端的に現れているのが、戦闘に関連する部分だ。

まず、艦船は大きく分けると5つのカテゴリー(Capital, Cruiser, Destroyer, Frigate, Fighter)があり、それぞれに10~20種類程度の型が存在する。そして、たとえ同じ型の船を使ったとしても、長距離から敵のシールドを削るのに特化した船、突撃して短時間に一気に打撃を与える船、敵の艦載機やミサイルの迎撃に長けた船など、装備品によって全く違った運用にすることができる。

実際の戦闘時にも、一隻一隻カスタマイズされた船が、実に細かいグラフィックによって動き回る。機動時のスラスター、敵のシールドを打ち破るべく放たれるエネルギー弾、後背へと回り込んでくるミサイル、それを迎撃する防衛用のタレット、空母から発進しフリゲートを包囲する艦載機……それら全てが、細かく、説得力のある動きを見せてくれる。
そしてもちろん、これらは単なる演出にとどまらず、全てがきちんとした意味を持っている。

サンプルプレイ動画。戦闘は06:50付近から。

また、ただ攻撃力・防御力の高い船を使えばいいというものでもない。大きな船は一般的に機動力に乏しく、単艦で動けばあっという間に包囲されてしまうからだ。部位ごとにダメージが計算されることもあり、あっという間にエンジンを止められ、タコ殴りにされること請け合いである。

艦隊編成と、個々の船のカスタマイズ、そして実際の戦闘時の操作。これら全てをきちんと行うことで初めて、持てる艦船の力を十分に引き出すことができるわけだ。

ちなみに、自分が操作しない船については、基本的にはAIが自動で動かすことになるのだが、このAIもなかなか良い動きをする。士官を乗せている場合は、そのスキルが上乗せされるとともに、性格に応じた動きをするようになったりもする。
各艦船に対して、RTSのように自分が指示を出すこともできるが、かなりおおまかな指示を、限られた回数しか出せない仕組みになっている。従って、細かなところはAIにまかせつつ、大局を見つつ指示を出す(ただしAIがその通りに動けるとは限らない)といった感じになる。このあたりは好みが分かれるところかもしれない。

さて、戦闘以外の部分もかなり作り込まれたゲームとなっている。
各惑星ごとに需要と供給が計算されており、それに応じて価格も決定される。例えば海賊に襲われて安定度が下がったり、輸送コンボイが襲われたりすると、価格が急騰したりもする。

つまり、例えばこういう感じである。
ブラックマーケットで仕入れた武器やスペースドラッグや謎の臓器類を、海賊に横流しする。儲かる。
すると、海賊が活性化し、周りの惑星を襲い出す。惑星の安定度が下がったところに、武器やスペースドラッグなどを売りさばきに行く。儲かる。
つまり、戦争と麻薬は儲かる。まさに外道。

まあ、それは極端なプレイだとしても、こっちの交易品をあっちに、こっちの特産物をあっちへと運んで小銭を儲けるのも楽しいものである。ちなみに、(Comm Arrayの範囲内にいるときは)交易品にカーソルを合わせてF1を押すだけで、どこで安く仕入れられ、どこで高く売れるのかという情報を簡単に見ることができる。

ただし、実は各惑星の市場での売買は一律の税金がかかってしまう。そのため、ブラックマーケット(当然無税)を有効に活用していきたい。とはいえ、ブラックマーケットで派手に売買を行う(安定度が下がるほどの取引)と、ファンションからの好感度が下がってしまう。また、そんなに派手な取引でなくとも、後から臨検を受けてバレると、やはり好感度が下がるので、注意してもらいたい。
ブラックマーケットを使う使わないに関わらず、惑星を出港した直後に、たまに緊急加速で追いかけてくる警備艦隊をみることがあるだろう。ちなみに、やましいところが無ければ臨検を受けても問題はないし、もっと言えば、追いつかれなければどうということは無い。

そして、ver.0.9aから新たに追加されたのが、コロニー(植民惑星)の運営である。自分でコロニーをつくり、ファクションを立ち上げることができるようになった。コロニーはつくられた惑星の環境と、建築した建物によって能力が決定され、自動的に周りの惑星と交易を行うようになる。適切な場所に、環境の惑星を発見し、十分な投資を行えば、シェアを大きく持ち、圧倒的な利益を得ることもできる。
もちろん、海賊や他のファクションに目をつけられるので、十分な軍事力を持つことも重要だ。力こそ正義。

また、このゲームでは、いわゆる文明圏はマップ中心のごく一部だけであり、その外側は広大な探索領域となっている。そこを探索するのも、なかなか楽しい。コロニー設立に適した惑星が見つかることもあるし、一獲千金のレアアイテムや、旧文明の設計書を入手できることもある。
もっとも、探索には大量の補給品を持っていかなければならない(=艦隊内に輸送船・燃料タンカーを用意する必要がある)上に、しばしば宇宙海賊や宇宙宗教原理主義者がはびこっているため、調子に乗ってうろうろしているとひどい目に遭うこともある。……まあ、それが楽しいのだが。

そんなこんなで、実に様々に遊ぶことができるゲームである。しかも、インターフェースもこなれた作りになっており、ストレスがあまり無い。現段階でも、興味のある人は是非遊んでみてもらいたい。

このゲームは、すでにして非常に高い完成度ではあるものの、最初に述べたようにまだα版という扱いである。今後まだまだ拡張・改善がなされていくことになるだろう。
このゲームが「完成」するのは、いつになるのか今のところ全く見当がつかない。しかし、その時がくれば、伝説のゲームと呼ばれるに足るだけのポテンシャルを持っている、極めて野心的な作品だと思っている。
それまで、みなさんもこのゲームの名前を、頭の片隅に引っ掛けておいて欲しい。

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