止められない行動をどうやって止めるか?8(未来編)

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decisionmaking

依存症を完全に治療するには、どうすればいいのだろうか。

現在のところ、その方法は見つかっていないのが実情だ。しかし、どうやら自然に回復している人が相当の割合でいるらしいことなどからも、今まで言われてきたような、進行性で一生治らない病気ではないらしいと分かってきた。

しかしながら、残念なことに治ったということが証明しづらいのも確かだ。将来的には例えばfMRIを用いた診断など、なんらかの確実性を持った検査が可能になるのかもしれないが、現段階では現実的ではない。再発の可能性が高いと言われているにもかかわらず、確実な診断ができないのであれば、結局治らないのと同じ、という言い方もできるかもしれない。お先真っ暗だが、残念ながら受け入れるしか無い。

ところで、なぜそもそも再発するのだろうかということを考えると、おそらくなのだが、モデルのトリガーから最終的な行動までの一連の流れ(以下依存チェーンと呼ぶ)が、無意識下では残り続けているからだろう。ということは、この依存チェーンは、ただ依存行動をしない時間がしばらく続くだけでは、どうやら破壊されないらしい。そして、どうやら抑制機能にしても、時間をかけるだけでは回復しないのだろう。

そのことは、薬物依存で捕まった犯罪者の再犯率の高さにも伺える。しばらくやらないだけで回復するのなら、拘置所や刑務所などでとっくに治ってるだろう。

ということは、依存症を完全に回復させようという観点から考えた場合、方法は2つあると考えられる。一つは、抑制機能を復活させる方法。もう一つは、依存チェーンそのものを積極的に破壊する方法、ということになる。

抑制機能は脳の中では前頭前野が扱っている高度な機能で、意識的な訓練によって強くすることができる能力ではある。その意味では、量をすこしずつ減らしていくやり方や、一旦依存がストップしているなら、曝露療法を行うといった手法が、おそらく有効だと考えられる。問題は、きちんとした環境で行わないと、依存症の特性からも、症状や状況を悪化させる可能性が高いということだ。医療機関などで行わなければ、リスクが高すぎるかもしれない。条件反射制御法は、最終的に抑制機能の復活と、トリガー→生理反応の部分の依存チェーンの破壊を狙っていると思われる。

となると、依存チェーンを破壊する方法が、そこそこ安全なので、やりやすい方法ということになる。依存症治療に一定の効果があると認められている認知療法や、動機づけ面接法などはこれに当たると考える。その手法こそ違うものの、自分の中の矛盾(状況を良くしたいと考えているのに、そのような行動になっていない)に気づかせることで、状況認知、および感情解釈~意思決定の部分に大きな働きかけをしていると考えられる。
欲望充足メソッドは、ギャンブルを行う裏にはもっと隠された欲望があるという考え方を用いて、その欲望を満たすためのギャンブル意外の別の行動を促す、といった手法だが、狙いは同じところにあると考えられる。

さて最後に、今回の一連のシリーズで、僕が述べた手法はどうだろうか。実は、生理反応~感情解釈の部分の依存チェーンを破壊できる可能性があると考えている。背後にある考え方に納得してもらう必要はあるが、独りで行える、とりあえず目の前の衝動を抑えることができるという利点もある。

今回の記事は、現在依存症からの回復の真っ最中にある、自分の考えをまとめるために書いていたという側面もある。そのため、元々が全体の構成をきちんとさせてから書き始めたわけではない。また、書いている最中にあらたな気付きや知識を得たことによって、当初想定していたのとは違う展開になってしまった部分もある。結果的に、全体的にまとまりのない記事となってしまったところは申し訳ない。ただ、そういった恥を忍びつつも、僕以外の誰かの、少しでも役に立ってくれればと思い、公開した。

一応、後日新たな知見やさらなるデータ・理論を増補しつつ、まとまりのある文章として再構成するつもりはある。その準備もかねつつ、これからも細かな依存症や心の動きにまつわる話を、記事として取り上げていく予定だ。

今回のシリーズは、ここで筆を置くことにする。

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