ごく一般的な、行動のモデルとはどのようなものだろうか。まず行動のきっかけ(トリガーと呼ばれる)があり、内的状況認知を経て、意思決定があり、最後に行動にうつされる。
内的状況認知をさらに分解すると、まず生理反応がおこり、それが状況認知と結びつき、感情が解釈されるという形になる(あれ?と思った方は前回の記事を確認)。状況認知も内的なもの(精神的なもの、記憶など)と外的なもの(物理的なものや他人など)とに分かれるが、いずれにしても感情解釈のみではなく、意思決定にも影響を持つことになる。
そして、なにかを我慢するというのはどういう状態だろう。まず、我慢という意志を行使するためには、まず内的状況が意識上にある必要がある。その上で、意思決定の際に抑制を働かせ、最終的な行動に影響を与えている状態。これが我慢だ。
随分ややっこしいことを書いているようにみえるが、図式で表すと、次のようになる。
さて、では依存症とはどのような状態なのだろうか。依存症の問題点は二つある。
一つは、トリガーから最終的な行動までが、基本的には無意識のうちに進行してしまうという点。
もう一つは、抑制の部分の機能が正常に働かなくなってしまっている点だ。
従って、いくら我慢をする意志を持っていたとしても、まず無意識の部分を意識上に挙げられるかどうかという問題、さらには意志はあっても抑制が正常に働くかどうかという問題、この二つが影響して、意志力を十分に行使できない状態であるといえる。
依存症がただ我慢をしようとしても無駄といわれる理由は、ここにある。
ではどのように対策をしていけばいいのだろうか。次回は、依存症対策の具体例と、その対策が一体どのような意味を持つのかを考えていきつつ、さらにこのモデルを深めていこうと思う。