小ネタ。
こんな美味しいネタ、絶対誰か書いてるだろーと思ったら、(2020年2月現在)日本語ではほとんど記事になっていないようだったので、紹介する。
世界で一番幸せな動物こと、クアッカワラビー(Quokka)をご存知だろうか。
しばしばTVなどでも取り上げられることもあり、知ってる人も多いと思うが、知らない人は、“world’s happiest animal”の画像検索をご覧頂きたい。
何この子。超カワイイ。ディズニーのアニメに出てきそう。笑顔がキュートでとても素敵。
1694年、バタビア(現在のジャカルタ)に向けて出港したオランダの商船Ridderschap van Holland号が行方不明になってしまい、1696年に捜索の為の船団が派遣された。インドネシア方面に向かった船団は、捜索のついでに西オーストラリアの探検を行い、クアッカワラビーでいっぱいのとある島に上陸した。その時に船団を率いていたWillem de Vlaminghはその様子を見て、「なんだこりゃ。でかいネズミがいっぱいいるぞ」と思ったらしい。
そして、島を”‘t Eylandt ‘t Rottenest”と名付けた。英語で書くと”Rat’s nest island”(ネズミの巣島)。これが現在クアッカワラビーの聖地として有名な、ロットネスト島というわけだ。
ちなみに、80年ほど前に来た別の探検家は、ネコがいっぱいいると思ったらしい。
さて、そのクアッカワラビー、ネコ……には見えないにしても、ネズミっぽい見た目であるが、実はカンガルーの仲間である。カンガルーの仲間ということで、後ろ足で跳ねて移動するし、生まれた子どもは母親の袋の中で育てられる。超カワイイ。
このクアッカワラビーだが、可愛いだけでなく、その一風変わった逃げ方でも(一部で)知られている。これが今回の記事の本題である。
天敵に襲われた際、もちろんクアッカワラビーも走って(というか跳ねて)逃げるわけだが、実は子持ちのメスに限って、ある必殺技を持っている。
なんと、飛び跳ねながら囮を落っことすのだ。
カッコよくいうと、逃走中にデコイをリリースする。
デコイは地面を転がりながら甲高い音を出し、捕食者の気を引く。その隙に、逃げ延びるというわけだ。
……ちなみに、もうお分かりだと思うが、念の為に書いておくと、デコイ=袋の中の子供、甲高い音=悲鳴である。要するに、子供を放り出して犠牲にしつつ、母親が生き残る仕組みとなっている。
なにそれ、ヒドイ……と思った方、冷静に考えてみてほしい。
クアッカワラビーは、その生涯で平均17匹の子供を産むとされている。となれば、きちんと育つかどうかも分からない子供を犠牲にして、自分が生き延びるというのは理にかなった生存戦略だ。またポコポコ産めばいいのである。
ちなみに、実はオグロワラビーやオオカンガルーなど、他の有袋類でも同じ行動が確認されている種がいるらしい。実際に、種として生き延びるために有効ということだろう。
何という冷徹で素晴らしい戦略。
今までただ可愛らしいと思っていたその笑顔も、魔法少女まどかマギカのキュウべえのごとき、不気味に貼り付いたものに見えてくるから不思議である。
そういうわけで、みなさんも何かの拍子にクアッカワラビーが話題に上った時、是非このトリビアを披露してみてほしい。場をドン引きさせること請け合いだ。