令和最初の大晦日を迎えているみなさん、いかがお過ごしでしょうか。
師走というだけあり、みなさん忙しい日々を送っていることだろう。なんせ、師が走るわけだし。マスター・アジアだって走り回っているに違いない。
ところで、忙しいことは楽しいことだ……といきなり書き出すと、何いってんだこいつと思われる方も多いかもしれないが、少し考えてみてもらいたい。
シューティングゲームで圧倒的な弾幕に押しつぶされそうになる中、ひたすら弾を避けることに集中するとき。
タイピングゲームで次々に現れる単語を入力しているとき。
リアルタイムストラテジーで、大規模な戦闘が発生し、いくつものユニットに的確な命令を出しつつも、同時に相手の内政荒らしに対する対応をしているとき。
ワニワニパニックの迫りくるワニを一心不乱に叩いているとき。
あるいは、実生活でも、小売販売店や飲食業などで働いたことがある方なら、ラッシュアワー中に次々に客を捌いていくときに感じる、奇妙な快感に覚えがある方も多いだろう。
今目の前にある課題を的確に行いつつ、最も効率のいい作業を行うために全体の状況を確認し、数秒先の予定を立て続けるという、脳をフル回転させる作業。
その作業に、人間は快感を感じるようにできているのではないだろうか。
そして、世の中にはその種の快感を引き出すのに特化したゲームがある。
で、ここまでいろいろと書いてみたが、実際のところ、ある2つのゲームが楽しい!ということを書きたいだけなのだ。
それが、”Cook, Serve, Delicious 2″と”One Finger Death Punch 2″だ。
どんなゲームなのかは、見てもらうのが早いだろう。
僕がプレイしている動画を以下に置いておく。
One Finger Death Punch 2は、極めて分かりやすいゲームだ。使うボタンも2つ(右を攻撃/左を攻撃)しかない。出現する敵や、ステージによって多少のギミックはあるものの、基本的には、迫りくる敵をひたすら倒し続けるだけのゲームである。
ところが、これが何故か素晴らしく面白い。
おそらく、基本のゲーム性というよりは、敵を倒したときのヒットストップ、時々自動で出る必殺技の頻度、敵の出現パターンによる緩急のリズムの塩梅の良さ、そして、自動で調整される難易度、効果音、棒人間のアニメーションといった、非常に細かい部分の調整までもが非常に高いレベルで練り込まれているからだろう。
実際、前作からすることは何も変わっていないにも関わらず、楽しさは確実にレベルアップしている。
極めてシンプルなゲームでも、演出と調整をきちんと行えば、ここまで楽しいゲームになるという見本のような作品だと言えるかもしれない。
一方、Cook, Serve, Delicious 2(2020年に3が出る予定)は、その名が示す通り、飲食店で次々に現れる客を捌き続けるゲームなのだが、One Finger Death Punch 2に比べると、学習・攻略要素の大きいゲームだ。
まず、店ごとにいろいろな料理を作ることができる(作らされる)のだが、料理の作り方、材料の組み合わせなどはきちんと覚える必要がある。
料理によっては作り置きが可能だったり、焼く・揚げるなどの時間のかかる工程が入り、その間は別の作業ができたりもする。
料理を作る以外にも、トイレの掃除やジュースの補充、皿洗い、ゴミ捨てなど様々な雑用もこなす必要がある。どうやら、完全ワンオペのブラックな職場のようである。
次々に降り掛かってくる仕事を捌くために、どういった順番で仕事を行うのかということを、常に考え続けることになる。いかに無駄な時間を作らず、効率よく、仕事をし続けることができるのかがポイントとなる。
この2つのゲーム、ゲーム性そのものは全然違うのだが、どこか似たようなところがあるように感じる。
余計な部分を削ぎ落としてあるゲームであるがゆえに、プレイヤーの処理能力の限界に近いところで、自分の中からある種のリズムのようなものが生まれてくる(そして、そのリズムが破綻した時、ミスをする)。
そういった、内から生まれるリズムを感じることができるという点で、似ているのかもしれない。
また、どちらのゲームも、一回のプレイ時間が短いのも良い。 起動も早い。
気軽に始め、気軽に終わることができる、濃密なプレイ感覚のゲームをやりたい人、あるいはAAAタイトルの箸休め的なゲームを探している人は、是非試してもらいたい。